鈴鹿サーキットについて調べていると、ふと疑問に思うことがありますよね。
F1日本グランプリやスーパーGT、8耐といったビッグレースが開催されるあのコースは一体何キロあるんだろう、とか、東京や大阪から車で行くとどのくらいの距離になるのかな、といった素朴な疑問です。
この記事では、レースファンが知りたいコースのスペックとしての全長はもちろん、実際に現地へ行く旅行者が気になるアクセス距離や、広大な園内を移動する際の目安となる距離感まで、あらゆる角度から解説していきます。
- 4輪と2輪で微妙に異なるコース全長の正確な数字と理由
- F1や8耐など主要レースで選手が走る総距離の目安
- 東京や大阪などの主要都市から現地までの移動距離と時間
- 最寄り駅からゲートや園内の観戦席まで歩く距離感
鈴鹿サーキットの1周は何キロあるのか

まずは、サーキットそのもののスペックに注目してみましょう。
世界中のドライバーから「神コース」と称賛される鈴鹿ですが、その長さや高低差には、数字で見るだけでも驚くような特徴がたくさん隠されているんです。
単なる「1周」という言葉の裏にある、深くて面白い距離の世界をご紹介します。
4輪と2輪で異なるコース全長の正確な距離
鈴鹿サーキットのフルコース(国際レーシングコース)の長さは、一般的に「約5.8km」と言われていますが、実は走るマシンが車(4輪)かバイク(2輪)かによって、その公式記録は微妙に異なることをご存知でしょうか。
私たち観客から見ると、F1マシンもMotoGPのマシンも同じアスファルトの上を走っているように見えます。
しかし、コンマ1秒を削り出すモータースポーツの世界では、わずかな走路の違いが距離の差となって表れます。正確な数字は以下のようになっています。
| カテゴリー | コース全長 | 違いの理由 |
|---|---|---|
| 4輪(F1・GTなど) | 5.807km | 日立Astemoシケイン(鋭角な形状)を使用 |
| 2輪(8耐・JSBなど) | 5.821km | 2輪専用シケイン(安全確保のため緩やか)を使用 |
この14メートルの差は、最終コーナー手前にある「シケイン」の形状によるものです。
シケインとは、スピードが出過ぎるのを防ぐために設置されたS字状のクランクのことですが、ここが4輪と2輪でルートが分かれているのです。
4輪用の「日立Astemoシケイン」は、鋭角に切り込むような形をしており、ドライバーは縁石を大胆に使って最短距離を駆け抜けます。
一方で、バイクがこの鋭角なコーナーを通過しようとすると、転倒した際に十分な減速スペース(ランオフエリア)が確保できないリスクがあります。
そのため、2輪レース開催時は、少し手前から緩やかにアプローチする「2輪専用シケイン」を使用します。この安全マージンを確保するための迂回ルートが、結果としてコース全長を14メートル長くしているのです。
ちなみに、この「5.807km」という距離は、日本の主要サーキットの中では最長です。世界的に見ても、テクニカルコーナーと高速セクションが入り混じった、非常に走りごたえのある長いコースとして知られています。
東コースや西コースの長さと特徴

鈴鹿サーキットの設計が天才的だと言われる理由の一つに、全長5.8kmのフルコースを「東コース」と「西コース」という2つの独立したサーキットに分割して運用できる点があります。
走行会や地方選手権、あるいは自転車イベントなどでは、このショートコースがよく使われますので、それぞれの距離感を知っておくと便利です。
東コース(East Course)
まず、メインストレートを含む前半部分が「東コース」です。こちらの全長は2.243kmとなります。
スタートして第1・第2コーナーを抜け、鈴鹿の名物である「S字コーナー」をリズミカルに駆け上がり、「逆バンク」を通過した後、ダンロップコーナーの手前から「第1短絡路」を通って最終コーナーへと戻るレイアウトです。
距離こそ2.2kmと短いですが、ここには鈴鹿の難所であるS字セクションが凝縮されています。ステアリングを左右に切り返すリズム感と正確性が求められるため、ドライバーの腕が試される「密度の濃い」コースと言えるでしょう。
西コース(West Course)
一方、後半部分にあたるのが「西コース」です。こちらの全長は3.475km(4輪)あります。
ホームストレートを使用せず、ピットロード出口付近からの合流(第2短絡路)を経てコースインします。
ヘアピンカーブの手前からスタートし、スプーンカーブ、西ストレート、そして超高速の130Rを通過し、シケインの手前からショートカットして戻ります。
西コースの特徴は、なんといってもそのスピードです。3.4kmのうち、約1km以上がアクセル全開区間で占められています。エンジンのパワーと高速コーナーでの安定性がタイムに直結するため、東コースとは全く異なる性格を持っています。
ホームストレートの長さや高低差の詳細

「距離」というのは、単に地図上の「長さ」だけではありません。立体的な「縦の距離」、つまり高低差も鈴鹿サーキットの大きな特徴であり、難易度を高めている要因です。
実は鈴鹿サーキット、コース全体の高低差が約52mもあるんです。
52mと言われてもピンとこないかもしれませんが、これはビルの高さに換算すると、なんと14階〜17階建てに相当します。ドライバーたちは1周5.8kmを走る間に、この高さを一気に下って、また駆け上がっているわけですね。
- メインストレート:約800m(2.8%の下り勾配あり)
- 西ストレート(バックストレート):約1,200m
特に注目したいのがメインストレートです。
テレビで見ていると平坦に見えますが、実は最終コーナーから第1コーナーに向けて下り坂になっています。
そのため、加速が非常に伸びやすく、1コーナーへの飛び込み速度が上がります。逆に、自転車やマラソンで走ると、最後の最後にこの「見えない上り坂」が足にきて、本当にキツいんです。
そして、スプーンカーブの脱出から130Rの手前まで続く「西ストレート」は、鈴鹿最長の加速区間です。
その長さは約1.2km。F1マシンならあっという間ですが、市販車で走ると「まだ直線が終わらないのか!」と感じるほど長く、エンジンの性能差が残酷なほどハッキリと出る区間でもあります。
F1や8耐などレースごとの総走行距離
では、実際のレースではこの長いコースを何周して、合計何キロ走るのでしょうか。
観戦に行く前に「選手たちがどれだけの距離を戦うのか」を知っておくと、レースの過酷さがよりリアルに伝わってきます。
F1日本グランプリ:約307km
世界最高峰のF1日本グランプリ。F1のレギュレーションでは「レース距離は305kmを超える最小の周回数で行う」と厳格に決められています(モナコGPなど一部例外あり)。
鈴鹿サーキット(5.807km)の場合、52周だと301.9kmで足りないため、53周を行うことになります。その結果、総走行距離は約307.471kmとなります。
この「307km」という距離は、東京インターから東名高速道路に乗って、愛知県の豊橋市付近まで移動するのとだいたい同じ距離です。
F1マシンは、この長距離をわずか1時間半ほどで、給油なし(タイヤ交換のみ)で走り切ってしまうのですから驚きですよね。
鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐):約1,250km
真夏の祭典として知られる8耐は、周回数ではなく「8時間という時間内でどれだけ遠くまで走れるか」を競います。
天候やセーフティカーの導入回数にもよりますが、トップチームは8時間で約210周〜220周を走行します。
これを距離に換算すると、なんと約1,220km〜1,280kmにもなります。
1,250kmという距離は、本州の端から端、例えば「東京から鹿児島」までの陸路移動距離に匹敵します。
路面温度が60度を超える灼熱の中で、2人〜3人のライダーが交代しながら日本列島縦断レベルの距離を走り切る。これが8耐が「過酷」と言われる所以です。
SUPER GT:300km〜時間制まで変動
国内で一番人気のSUPER GTですが、こちらはレース距離が開催ごとに変動するのが特徴です。
基本となるフォーマットは「300kmレース(52周)」ですが、戦略の幅を持たせるために「450kmレース」が行われたり、2024年以降は「3時間レース(時間制)」が導入されたりと変化しています。
3時間レースの場合、ドライコンディションであれば450km〜500km近い距離を走ることになります。
富士スピードウェイなど他コースとの比較
「鈴鹿の5.8kmって、結局長いの?短いの?」と聞かれることがありますが、他の有名なサーキットと比べてみるとそのスケール感が一目瞭然です。
| サーキット名 | 全長 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鈴鹿サーキット | 5.807km | 国内最長。テクニカルとパワーのバランスが良い。 |
| 富士スピードウェイ | 4.563km | 約1.5kmの超長いホームストレートが最大の特徴。 |
| モビリティリゾートもてぎ | 4.801km | ストップ&ゴーのレイアウト。鈴鹿より1km短い。 |
| 菅生(SUGO) | 3.704km | 高低差が大きくコンパクトで魔物が棲むと言われる。 |
国内の主要サーキットの多くが3km台後半〜4km台であるのに対し、鈴鹿の5.8kmという長さはやはり突出しています。
この長さがあるからこそ、低速コーナーから超高速コーナーまで、あらゆる要素を1周の中に詰め込むことができ、ドライバーから「走っていて飽きない」「挑戦しがいがある」と評価されるのです。
ちなみに世界に目を向けると、ドイツの「ニュルブルクリンク(北コース)」は全長約20.8kmもあり、これはもう別格の存在です。
しかし、F1が開催される常設サーキット(グレード1)としては、鈴鹿は世界でもトップクラスの長さを誇ります。
(出典:鈴鹿サーキット 国際レーシングコース コースガイド)
マラソンや自転車イベントでの走行距離
鈴鹿サーキットはモータースポーツだけでなく、一般の人が参加できるスポーツイベントの舞台としても親しまれています。
代表的なのが「シマノ鈴鹿ロード」のような自転車レースや、「鈴鹿シティマラソン」です。
自分の足で走ったり、自転車でペダルを漕いだりすると、車で見ているときには気づかない「坂道のキツさ」を痛感します。
特にホームストレートはずっと緩やかな上り坂ですし、ダンロップコーナーからデグナーカーブへ向かう上り坂(通称ダンロップ・ヒル)は、勾配7.8%という激坂です。
市民マラソンや自転車イベントに参加される方は、距離表示(5.8kmや29kmなど)以上に、この「高低差による負荷」を計算に入れてペース配分することをおすすめします。
「たかが5キロ」と思って全力でスタートすると、後半のアップダウンで足が止まってしまいますよ。
鈴鹿サーキットまでの距離は何キロか

ここからは、旅行者視点での「距離」のお話です。
県外から鈴鹿サーキットへ遊びに来る方にとって、自宅からの移動距離や所要時間は切実な問題ですよね。
特に家族連れやグループ旅行の場合、移動だけで疲れてしまっては元も子もありません。
東京や大阪から車でアクセスする場合
マイカーで鈴鹿サーキットへ遠征する場合、主要都市からの距離感と覚悟しておくべきポイントは以下のようになります。
東京方面からのアクセス

東京インターから鈴鹿インターまでは、ルート(東名か新東名か)にもよりますが、片道約360km〜380kmあります。休憩なしで順調に走っても4時間〜5時間はかかる距離です。
日帰りは物理的に不可能ではありませんが、往復で700kmを超える運転は、長距離トラックのドライバー並みの業務量です。
レース観戦は現地でも歩き回って体力を消耗しますので、安全のためにも宿泊を強くおすすめします。新東名高速道路の120km/h区間をうまく活用して、疲労を軽減するのがコツです。
大阪方面からのアクセス

大阪方面からは比較的アクセスしやすいです。
吹田インターあたりから約110km〜130kmほど。新名神高速道路が開通したおかげで、渋滞がなければ1時間半〜2時間程度で到着できます。こちらは十分に日帰り観戦の圏内ですね。
名古屋方面からのアクセス

名古屋方面からは約50km〜60kmと距離は短いのですが、注意が必要です。
東名阪自動車道、特に四日市ジャンクション周辺は、全国有数の渋滞ポイントとして悪名高い場所です。
「距離は近いのに、渋滞のせいで東京から来るのと変わらないくらい時間がかかった」なんてことにならないよう、早朝の出発や、伊勢湾岸道経由のルート検討がカギになります。
また、レンタカーでお越しの方は格安でレンタカーを比較することもおすすめです。
最寄り駅からゲートまでの徒歩距離と時間
電車派の方が一番気になるのが、「駅からサーキットまで歩けるのか?」という問題だと思います。
地図アプリで見ると近そうに見えても、実際に歩くと結構な距離があります。
近鉄 白子(しろこ)駅ルート

特急が停車するメインの玄関口、白子駅。ここからサーキットまでは、約5.5kmあります。
これを歩くと、大人の足でも60分〜70分はかかります。
5kmという距離は、普段の散歩レベルを超えています。通常は三重交通バスやタクシーを使うのが一般的ですが、F1決勝の後などはバス待ちの列が数時間待ちになることもあり、「待つくらいなら歩く!」と覚悟を決めて歩くファンも少なくありません。歩く場合は、歩きやすい靴が必須です。
伊勢鉄道 鈴鹿サーキット稲生(いのう)駅ルート

もう一つの最寄り駅、伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅。こちらはサーキットの敷地に隣接しているため、唯一「徒歩圏内」と言えます。
第1コーナーゲートまでなら徒歩約20分、メインゲート(GPスクエア)までは約30分です。「駅近」というイメージでいくと意外と歩かされますが、白子駅からの徒歩に比べれば遥かに楽です。
ただし、駅が小さく改札制限がかかりやすいため、駅に入るまでの待ち時間が発生することも考慮に入れておきましょう。
園内のスプーンカーブまで歩く距離
無事にサーキットに到着しても、油断してはいけません。鈴鹿サーキットは園内の移動距離も規格外なんです。
特に、チケットを買った席が「スプーンカーブ」や「西コース」エリアの場合、ちょっとしたハイキングになります。
メインゲート(GPスクエア付近)から、コースの西端にあるスプーンカーブの観戦席までは、なんと片道約2.5km以上あります。
「2.5kmなら30分くらいで歩けるでしょ?」と思われるかもしれませんが、園内の通路はアップダウンがあり、レース日は大勢の人で混雑しています。人混みをかき分けながら歩くと、片道40分〜1時間は見ておく必要があります。
スプーンカーブのチケットをお持ちの方は、往復するだけで合計5km、約2時間のウォーキングになります。
飲み物を多めに持参し、絶対に歩きやすいスニーカーで挑んでください。
園内ループバスもありますが、ビッグレースの際は待ち時間が長く、歩いたほうが早い場合も多いです。
敷地面積や広さを体感する園内移動
鈴鹿サーキットの敷地面積は、遊園地(鈴鹿サーキットパーク)やホテルエリアも含めると約200万平方メートルとも言われています。東京ドームやディズニーランドと比較してもその広大さがわかります。
例えば、メインスタンド(V席)で観戦していて、「ちょっとシケイン(Q席)の様子も見に行こうかな」と思ったとします。これだけで片道1km以上あり、しかもトンネルをくぐったり坂を登ったりする必要があります。
「隣のエリアだからすぐ行けるだろう」という感覚で動くと、レースのスタートに間に合わなくなることも。
特に小さなお子様連れやご年配の方と一緒の場合は、移動時間を大人の足の倍以上見積もっておくことが大切です。
無理に歩き回らず、園内のホテルで食事休憩をとったり、パークのアトラクションで遊びながらゆっくり移動するなど、余裕を持った計画が成功の秘訣です。
レース観戦だけでなく、園内のホテルやレストランを活用して、混雑を避けながら優雅に過ごすのも「鈴鹿通」の楽しみ方です。そんな大人向けの過ごし方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
鈴鹿サーキットまでは何キロなのかのまとめ
ざっくり今回の内容をまとめます。
- コース全長は4輪で5.807km、2輪で5.821km。
- 高低差52mやスプーンまでの徒歩移動など、見えない「キツさ」がある。
- アクセスや園内移動は、距離以上に「時間と体力」を使うので準備万端で!
この記事を参考に鈴鹿サーキットに楽しんで挑んでみてくださいね!
※記事内の数値データは一般的な目安です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

