三重県にお越しのみなさん、こんにちは。「三重県に行こう」運営者のまるこです。
伊勢のお土産といえば、真っ先に思い浮かぶのが「赤福」ですよね。
お伊勢参りに行くと、必ずと言っていいほどみんなが手にしているあのピンク色の包み紙。
でも、ふと思うことはありませんか。
日本中にはたくさんの美味しいあんころ餅があるのに、どうして赤福だけがこれほどまでに絶大な人気を誇っているのでしょうか。
実はそこには、単に味が美味しいというだけではない、深くて面白い理由がたくさん隠されているんです。
今回は、地元民の私だからこそ知っている赤福の魅力や秘密、そしてちょっぴり意外な歴史まで、たっぷりとご紹介します。
- 消費期限が短いことこそが証明する鮮度へのこだわり
- 300年以上続く歴史と伊勢神宮との深い結びつき
- 一度は並んでみたい朔日餅や本店だけの職人技
- ファンを魅了する新しい味や意外なアレンジレシピ
赤福がなぜ人気なのかその理由と魅力

赤福がこれほどまでに愛され続けるのには、いくつかの明確な理由があります。
ここでは、商品の品質や歴史、そして店舗でしか味わえない特別な体験など、赤福の人気の秘密を深掘りしていきます。
賞味期限が短い理由と鮮度の価値
お土産として赤福を買うとき、「えっ、賞味期限がこんなに短いの?」と驚かれたことはありませんか。
手土産として渡す際に、もう少し日持ちしてくれたら助かるのに……と思った経験がある方も多いはずです。
しかし、実は赤福の消費期限は、夏場(5月中旬〜10月中旬)は製造日を含めて2日間、冬場(10月中旬〜5月中旬)でも3日間と、和菓子の中でも極めて短く設定されています。
この短さには、赤福ならではの品質へのこだわりが隠されています。
赤福餅は、お餅本来の柔らかさと、小豆の風味を最大限に生かすため、保存料を一切使用していません。もし保存料をたっぷり使えば、一週間や二週間持たせることは可能かもしれませんが、それではあの「とろけるような食感」や「上品な甘さ」は失われてしまいます。
つまり、「日持ちがしない」ことこそが、「混ぜ物のない本物の生菓子」であるという鮮度の証明なのです。
また、この「消費期限の壁」が、ある種のブランド価値を生み出しています。賞味期限が短いということは、物理的に遠くへ運ぶことが難しいということ。
つまり、東海地方や近畿地方の一部など、限られたエリアでしか購入できない「希少性」が生まれます。
東京や遠方にお住まいの方にとって、赤福は「わざわざ伊勢(または関西)に行かなければ食べられない特別な味」となり、それがさらなる憧れや人気を呼んでいるのです。
新幹線で名古屋を過ぎ、赤福の看板が見えてくると「ああ、西日本に帰ってきたな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
赤福は「常温保存」が基本です。冷蔵庫に入れてしまうと、お餅に含まれるデンプンが老化し、急速に硬くなってしまいます。
夏場などは心配になるかもしれませんが、直射日光の当たらない涼しい室内で保管し、期限内であってもできるだけ早めに召し上がってくださいね。
伊勢神宮参拝の歴史と深い関係

赤福の歴史は非常に古く、創業はなんと宝永4年(1707年)にまで遡ります。
これは江戸時代中期、富士山の大噴火が起きた年と同じであり、実に300年以上もの長い歴史を持っています。
赤福は単なるお菓子屋さんではなく、お伊勢参りの歴史と共に歩んできた「参拝文化の一部」と言っても過言ではありません。
当時、お伊勢参りは庶民にとって一生に一度の夢でした。
現代のように新幹線も車もない時代、人々は何日も、時には何ヶ月もかけて徒歩で伊勢を目指しました。
長く険しい旅路の果てに、ようやく伊勢神宮にたどり着いた旅人たち。
彼らにとって、五十鈴川のほとりにある茶店で振る舞われる赤福餅は、疲れた体を癒やす最高のエネルギー源だったのです。
お餅は腹持ちが良く、あんこの糖分は即効性のあるエネルギーになります。今で言う「エナジーバー」や「ファストフード」のような役割を果たしていたのかもしれませんね。
赤福餅の特徴的な形にも、伊勢神宮への深い敬意が込められています。
お餅の上につけられた三筋の突起は、神宮の神域を流れる清流「五十鈴川(いすずがわ)」のせせらぎを表し、中の白いお餅は川底の小石を表現しています。
つまり、赤福を食べることは、伊勢の清らかな風景そのものを味わうことにつながるのです。
ちなみに、創業当時は砂糖が貴重だったため塩味の餡でしたが、その後黒糖餡になり、明治時代に昭憲皇太后(明治天皇の皇后)へ献上する際に、より上品で洗練された「白砂糖餡」へと改良されました。
伝統を守りながらも、時代の変化や要請に合わせて味を進化させてきた柔軟性も、300年続く秘訣と言えるでしょう。
本店限定の職人技餅入れさん
伊勢神宮内宮の門前町である「おはらい町」に行くと、いつも多くの人で賑わっている切妻造りの立派な建物があります。それが「赤福本店」です。

お土産に箱入りの赤福を買うのも良いですが、私がぜひおすすめしたいのは、本店の中でいただく「盆(2個入り)」です。
本店で提供される赤福餅は、工場で生産されたものではなく、その場で職人さんが手作りしたものなんです。
このお餅を作る職人さんは、敬意を込めて「餅入れさん」と呼ばれています。
その多くは女性の職人さんで、独自の厳しい技能試験に合格した人だけが、お客様の前でお餅を握ることが許されています。
作りたての赤福餅は、箱入りのものとは比べ物にならないほどお餅が柔らかく、あんこの香りも格別です。
縁側に座り、目の前を流れる五十鈴川のせせらぎを聞きながら、薪で沸かしたお湯で淹れた香ばしい「いぶし番茶」と共にいただく赤福。
これぞまさに、伊勢でしか体験できない至福のひとときです。
毎月1日限定の朔日餅と行列
赤福の人気を語る上で欠かせないのが、毎月1日(1月を除く)にだけ販売される限定商品「朔日餅(ついたちもち)」の存在です。
伊勢には古くから、毎月1日に神宮へお参りし、無事に過ごせた先月への感謝と新しい月の無事を祈る「朔日参り(ついたちまいり)」という風習があります。
この参拝客をもてなすために1978年から始まったのが朔日餅です。
朔日餅の最大の特徴は、月ごとに中身もお餅もパッケージもすべて変わることです。日本の四季や年中行事を映し出したラインナップは、何度通っても飽きさせません。
| 月 | 商品名 | 特徴・味わい |
|---|---|---|
| 2月 | 立春大吉餅 | 黒大豆と大豆を使った2種類の豆大福。邪気を払います。 |
| 4月 | さくら餅 | 春の訪れを告げる桜色のお餅。葉の香りがたまりません。 |
| 8月 | 八朔粟餅 | 昔ながらの粟(あわ)餅。黒糖味の餡と粒々の食感が人気。 |
| 10月 | 栗餅 | 年間で最も人気!もち米の食感を残した栗餡のお餅。 |
特に人気が高いのが10月の「栗餅」や8月の「八朔粟餅」です。これらを求めて、販売日の前日夕方から配布される「整理券」を受け取り、当日は早朝3時や4時から数百人、多いときには千人を超える大行列ができます。
真冬の寒い中や真夏の早朝から並んで手に入れた朔日餅の味は、また格別です。
「そんなに並べないよ!」という方もご安心ください。
最近では事前のオンライン予約による抽選販売や、一部百貨店での取り扱いも増えています。
ただ、やはり本店で季節の風を感じながら並ぶという「体験」そのものに価値を感じているファンも多いのが事実です。
伊勢だよりの日付やしおりの意味
赤福の箱を開けると、お餅の上に一枚の和紙が入っていますよね。
あれは「伊勢だより」と呼ばれるもので、赤福の隠れた人気コンテンツなんです。
ただの商品説明書だと思って捨ててしまっている方はいませんか?それはとってももったいないですよ!
実はこの「伊勢だより」、なんと365日、毎日絵柄と文章が違うんです(閏年を含む)。版画家の徳力富吉郎先生が描いた伊勢の風景、伝統行事、草花などの素朴で温かみのある版画に、その日の日付と、季節感あふれる短い随筆が添えられています。
例えば、自分が伊勢を旅した日の日付が入った「伊勢だより」は、世界に一つだけの旅の記念になります。
また、家族や友人の誕生日の日付が入ったものを探してプレゼントするのも素敵ですよね。
コレクターの間では、全種類コンプリートを目指している方もいるとか。最近ではフリマアプリで特定の日付のものが取引されることもあるほど、多くの人に愛されている「小さなお手紙」なのです。
次回赤福を開けるときは、ぜひその日の日付とメッセージをじっくり読んでみてくださいね。
赤福はなぜ人気を維持し続けるのか

長い歴史の中には、ブランド存続の危機もありました。それでもなお、赤福が愛され、人気を維持し続けているのには、伝統を守りながらも時代に合わせて進化する姿勢があります。
過去の不祥事から復活した理由
赤福の歴史を語る上で避けて通れないのが、2007年(平成19年)に発覚した「消費期限の偽装(まき直し)」問題です。
売れ残った商品の包装紙を変えて製造日を新しく改ざんして再出荷するという行為は、食品企業としてあってはならないことでした。このニュースは全国に衝撃を与え、私も含め多くの地元ファンが心を痛めました。
この問題により、赤福は無期限の営業禁止処分という創業以来最大の危機に直面しました。
しかし、ここで終わらなかったのが赤福のすごいところであり、地域との絆の深さでもあります。
営業停止中、地元伊勢の人々からは「赤福がない伊勢なんて考えられない」「早く戻ってきてほしい」という応援の声が数多く寄せられたのです。
赤福はこれに応えるべく、同族経営の刷新、第三者委員会による監視体制の構築、製造プロセスの徹底的な透明化など、組織を根本から作り直しました。
そして営業再開の日、本店には早朝から長蛇の列ができ、用意された商品は即完売。「待ってたよ!」という声が飛び交いました。
この復活劇は、赤福が単なる一企業の商品を超えて、伊勢という土地の文化や誇りと分かち難く結びついていたことを証明しています。
失敗を隠さず、誠実に再生に取り組んだ姿勢が、現在の絶大なる信頼回復につながっているのです。
白餅黒餅など新作の口コミ
伝統を守り続ける赤福ですが、決して「昔のまま」ではありません。
時代の変化に合わせた新しいチャレンジも積極的に行っています。その代表例が、コロナ禍をきっかけに定番商品化された「白餅黑餅(しろもちくろもち)」です。
これまで赤福といえば一種類のみでしたが、この「白餅黑餅」は、黒砂糖を使ったコクのある「黑餅」と、白小豆を使った上品な「白餅」がセットになっています。
「黑餅」は江戸時代に食べられていた素朴な味の復刻版、「白餅」は平成から令和にかけて作られた新しい味。
一つの箱で歴史の変遷を楽しめるとあって、今では通常の赤福に次ぐ人気商品となっています。
白餅黑餅の味の特徴
【黑餅】 黒糖の香ばしい風味と深いコクがあり、コーヒーとの相性が抜群です。
【白餅】 白小豆特有のあっさりとしたキレのある甘さで、いくらでも食べられそうな軽さがあります。
さらに、赤福が展開する洋菓子ブランド「五十鈴茶屋」では、和三盆を使ったシュークリームや、季節のフルーツを使ったケーキなど、和洋折衷のスイーツも提供しています。
2025年以降も、大阪の百貨店への常設出店や、「赤福水ようかん」の販売など、伊勢以外でも楽しめる機会を増やしており、老舗にあぐらをかかない攻めの姿勢が若い世代のファンも獲得しています。
御福餅との違いや種類の比較
「伊勢のお土産売り場で、赤福にそっくりなお餅を見たんだけど…」という質問をよく受けます。
それはおそらく「御福餅(おふくもち)」のことでしょう。二見浦に本店を構える御福餅もまた、伊勢を代表する名物餅の一つです。

一見するとそっくりな両者ですが、コンセプトや製法には明確な違いがあります。
| 項目 | 赤福餅 | 御福餅 |
|---|---|---|
| モチーフ | 五十鈴川の「清流」(静的) | 二見浦の「波」(動的) |
| 形状の特徴 | 三筋の突起が整然と並ぶ | 手作業の跡が残り、ウェーブがかかっている |
| 生産体制 | 主に機械生産(本店除く) | 手詰め・手作業を重視(一部機械化) |
| パッケージ | ピンク色の包み紙 | 薄紅色の包み紙(「御福」の文字) |
味については個人の好みになりますが、一般的に赤福は「こし餡がきめ細かく、さっぱりとした甘さ」、御福餅は「お餅が柔らかく、少し甘みが強めで手作り感がある」と言われることが多いです。
どちらも甲乙つけがたい美味しさですので、伊勢に来た際は両方買って「食べ比べ」をしてみるのも、通な楽しみ方ですよ。
カロリーや糖質と健康への配慮
甘いものを食べるとき、どうしても気になってしまうのがカロリーや糖質ですよね。
特にダイエット中の方や健康を意識している方にとっては重要なポイントです。
赤福餅(1個あたり)の栄養成分は以下のようになっています。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 熱量(カロリー) | 92kcal | ご飯お茶碗 軽く半分程度 |
| たんぱく質 | 1.7g | 植物性たんぱく質 |
| 脂質 | 0.2g | 非常に低脂質! |
| 炭水化物 | 21.2g | 主なエネルギー源 |
(出典:株式会社赤福 商品情報『折箱』)
注目していただきたいのは、脂質の圧倒的な低さ(0.2g)です。
ケーキやクッキーなどの洋菓子は、バターや生クリームを多く使うため脂質が高くなりがちですが、赤福は小豆、餅米、砂糖というシンプルな素材で作られているため、脂質がほとんどありません。
「3時のおやつに甘いものが食べたいけど、脂っこいものは控えたい」という時には最適なお菓子と言えます。
ただし、炭水化物(糖質)はしっかり含まれていますので、美味しいからといって一度に一箱全部食べてしまうのはNGですよ(笑)。
スポーツ前後のエネルギー補給としても優秀ですので、伊勢志摩をサイクリングやランニングする際のお供にもぴったりです。
トーストなど美味しい食べ方
「賞味期限内に食べきれなくて、お餅が少し硬くなってしまった…」そんな時も諦めないでください!実は赤福には、地元民も実践している美味しいアレンジレシピが存在します。
おすすめNo.1:赤福トースト
これは本当に絶品です。食パンにバターを塗り、その上に赤福餅を乗せてトースターで焼くだけ。
加熱することで硬くなったお餅がトロトロに復活し、熱々のあんこと溶けたバターの塩気が絡み合って、禁断の「あんバタートースト」が完成します。
名古屋のモーニングにも負けない美味しさですよ。
おすすめNo.2:赤福お汁粉(ぜんざい)
お椀に赤福餅を入れ、熱湯を注いでよくかき混ぜるだけで、即席のお汁粉になります。
少し塩昆布を添えれば、立派な和スイーツに早変わり。冬場の寒い時期には体も温まりますし、硬くなったお餅も柔らかくいただけます。
おすすめNo.3:赤福ホットサンド
キャンプ好きの方やホットサンドメーカーをお持ちの方におすすめ。
食パンに赤福を挟んでプレスして焼くと、外はカリッ、中はモチッとした食感のコントラストが楽しめます。アウトドアのおやつとしても最高です。
そのまま食べるのが一番美味しいのはもちろんですが、もし余ってしまった場合は、ぜひこれらのアレンジを試して、新しい赤福の魅力を発見してみてくださいね。
赤福がなぜ人気なのかまとめ
赤福がなぜこれほどまでに人気なのか、その理由がお分かりいただけたでしょうか。
300年という気が遠くなるような長い歴史、伊勢神宮という日本人の心のふるさととの深いつながり、そして「日持ちしない」という不便さを逆手に取った鮮度への徹底したこだわり。
これらが複雑に組み合わさって、赤福は単なる「あんころ餅」を超えた、唯一無二のブランド体験を提供しているのです。
一度はつまづいたこともありましたが、それをバネに地域と共に生まれ変わり、今なお進化を続けています。
伊勢に来た際は、ぜひ本店で、五十鈴川の風を感じながら作りたての赤福を味わってみてください。
その柔らかさと優しさに触れたとき、きっとあなたも赤福のことがもっと好きになるはずです。


